トラウマになるまえに「早くケアする」という選択肢もあります 〜R-TEP・G-TEPとは?〜
- 裕子 小野寺
- 6 日前
- 読了時間: 3分

事故や災害、突然の出来事、大切な人との別れなど、強いショックを受ける出来事を経験した直後は、心も脳も大きな負担を受けています。
この時期に行う心理的ケアの一つが、R-TEP(Recent Traumatic Episode Protocol)です。
R-TEPは、出来事の直後から数週間程度の時期に行うEMDRのプロトコルで、つらい記憶がトラウマとして固定化する前に整理し、心への影響を和らげることを目的としています。
イメージとしては、「深い傷あとになってしまう前に、傷を適切に手当てする」ようなケアです。
もちろん、ショックを受けたすべての人が心理療法を受ける必要があるわけではありません。多くの方は休息や周囲の支えによって自然に回復していきます。
一方で、
「頭から離れない」「眠れない」「何度も思い出してしまう」
といった状態が続く場合には、早めの専門的なケアが役立つことがあります。
今回は、そんな早期介入のための心理療法であるR-TEPと、グループで行うG-TEPについてご紹介します。
R-TEPとは?
R-TEP(Recent Traumatic Episode Protocol)は、最近起きたつらい出来事に対して行うEMDRのプロトコルです。
特徴は、出来事だけを見るのではなく、その出来事が起きてから現在までを一つの「ストーリー」として整理していくことです。
例えば事故を経験した方であれば、
・事故の瞬間・救急搬送されたこと・その後の生活・今も残っている不安
この一連の流れを振り返りながら、今も苦痛が強く残っている場面を見つけ、一つずつ丁寧に処理していきます。
「出来事全体を整理する」というイメージに近いかもしれません。
G-TEPという方法もあります
もう一つ、G-TEPという方法があります。
これはR-TEPをグループで行えるようにしたプログラムです。
「グループでトラウマの話をするの?」
と思われるかもしれませんが、その必要はありません。
専用のワークシートを使って、自分のペースで進めるため、自分の体験を詳しく話さなくても取り組むことができます。
同じような経験をした人と同じ空間にいながら、自分自身の心と向き合える方法です。
人道支援としてのEMDR
EMDRには、JEMDRA-HAP(Japan EMDR Association Humanitarian Assistance Program)という人道支援活動があります。
自然災害や戦災、テロなどの被災者に対して、EMDRを用いた心理的支援を行うための組織で、世界各国のEMDR-HAPとも連携しながら活動しています。
今回の熊本地震でも、JEMDRA-HAPの皆さんが支援に向けて動いていると伺いました。
災害では、住まいや生活の支援が注目される一方で、心のケアもとても大切です。
もちろん、被災直後は安全の確保や生活を立て直すことが最優先です。
その上で、不安や恐怖が長く続く方に対して、このような専門的な心理支援が行われていることを、多くの方に知っていただけたらと思います。
このたびの地震で被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。
一日も早く安心して過ごせる日常が戻りますよう、お祈りしております。
ハピネス発達心理相談室
【RーTEP/GーTEP RISC研修会】
講師:益田充、仁木啓介 ファシリテーター:浅山耕介
2026.8.2開催




