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執筆者の写真裕子 小野寺

マジョリティ側の特権について考える

マジョリティ側の特権の可視化について上智大学の山口真紀子先生のお話をEMDR学会で聴く機会がありました。


まずマジョリティとは多数派を意味しますが、必ずしも数の違いだけではなくパワーや特権があり優位な情況にいる人を指すこともあります。一方のマイノリティは少数派で数が少ない人たちや、もともと持っているパワーや特権が少ない人たちのことをいいます。


発達障害について考えますと、マジョリティである定型発達の人たちが特権をもっていることになります。

定型発達の人たちは自分たちの過ごしやすい明るさや温度、聞こえやすい音に調整された環境で過ごせるという特権があります。また、社会の構造が定型発達のコミュニケーションの方法や社会性などがもとになっている、という特権があるといえます。学校のしくみも定型発達向けに作られておりそこに馴染める特権、先生やリーダー的な人と同じような感覚をもともともっているという特権があるかもしれません。


特権をもっていない発達障害の人たちは、その分頑張らないとなりません。感覚の違いによる不快感を我慢したり、コミュニケーションの方法が違う人たちに合わせて本来の自分を隠したり、わかりにくい社会の仕組みをどうにか理解したりしなければなりません。

最近では合理的配慮といってその違いに対する配慮も多くなってきました。

しかし、まだまだ行き届かないところやそのような配慮を逆に差別だと言われたりすることもあります。


山口先生はこのようなマイノリティの人たちに対しどう支援するかよりも、まずはマジョリティの人たちが自分たちのもっている特権に気づくことが大切だといっています。

マジョリティ寄りの社会構造になっている世の中で自分たちが特権をもっていることに気づき、同じ世の中で苦しい経験をしている人たちがいることに目を向ける、そうすることで差別のある社会構造を変えていけると考えられています。


【参考文献】

上智大学「立場の心理学からマジョリティ特権と構造的な差別を可視化する」出口真紀子 

日本EMDR学会第19回学術大会特別講演「特権(Privilege)について」出口真紀子

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