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愛着と自律神経系の働き


子どもの頃のアタッチメント(愛着)のスタイルが大人になっても影響することがわかってきています。


アタッチメント、愛着のスタイルには4つのパターンがあることが知られています。乳児が新奇場面でどのような行動をとるのかによって次の4つのパターンに分けられます。


①    不安定・回避型 

②    安定型

③    不安定・アンビヴァレント型

④    不安定・無秩序・無方向型


①    不安定・回避型

赤ちゃんが泣くと母親(主な養育者)があやしてくれる、目が合うと笑い返してくれるなど、赤ちゃんと母親は日常的に相互的なやり取りをしています。


泣いてもあやしてもらえない、母親から期待した反応が返ってこないなど、やりとりがうまくいかないと赤ちゃんは苦痛を感じます。


母親とのやりとりで感じられる苦痛を避けるために、赤ちゃんは泣いたり母親の視線をさけたりするようになります。


苦痛を感じないようにするため感情を抑えることや、母親の気を引く活動を少なくすることでエネルギーを保存し身を守っていると考えられています。


不安定・回避型のアタッチメントスタイルでは、副交感神経系が優位になり感情を抑え無気力になる傾向があります。



②    安定型

母親(主な養育者)との安定した愛着をつくります。


母親とのやり取りがうまくいかないことがあっても、次の機会にはまた笑いかけてくれる、リカバリーされていくので苦痛があっても元に戻すことができるようになります。


安定型のアタッチメントスタイルでは、自律神経系が上がったり下がったりしても比較的早く元に戻すことができるようになります。



③    不安定・アンビヴァレント型

母親(主な養育者)とのやり取りがうまくいかず苦痛を感じると、赤ちゃんは母親に近づいたり離れたりして抵抗を試みます。


試みがうまくいかなくても赤ちゃんは抵抗せずにはいられない状態になり、どんどん心のエネルギーが高まっていきます。


母親にべったりしていたかと思うと、急に怒り出すなどしてエネルギーを表に出すことで心のバランスをとっていると考えられます。


不安定・アンビヴァレント型のスタイルでは、交感神経系が高まるため、怒りなどの激しい感情がでてきやすい傾向があります。



④    不安定・無秩序・無方向型

母親(主な養育者)が赤ちゃんを叩いたり世話をしなかったりした場合に、赤ちゃんは逃げることも近づくこともできない状況になります。


自分を守ってくれる養育者が、同時に自分を危険にさらすため、解決不可能な状態になります。


どうしたらいいかわからないため、赤ちゃんは母親に抱きついたかと思うと急に床に倒れこむなど、行動は一貫性のないものになっていきます。


不安定・無秩序・無方向型のスタイルでは、交感神経と副交感神経が同時に活性化するため、心身のエネルギー消費が激しくなります。感情が激しく表出されたかと思うと、突然フリーズしてしまうようなこともあります。



このようにアタッチメントのスタイルが自律神経系の働きに影響し、大人になっても続くことがあります。



自分ではどうしようもない感情の動き、身体の感覚などがある時は、アタッチメントの観点から考えてみるとわかることもあるかもしれません。


自分を知ることが回復への第一歩になります。





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【参考文献】

小林隆児(2024)「アラン・ショア入門ー感情調整と右脳精神療法ー」

岩崎学術出版社


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