「闘争逃走反応」とは、生理学者のCanonが提唱した、自律神経の交感神経が危険を感じた時に「闘うか、逃げるか」を迫るという神経反応のことです。
「闘うか、逃げるか」するため、すぐ動けるように身体に反応が起こります。筋肉に力を供給するため心拍数や呼吸が速くなり、血圧が高くなります。すぐに危険に対応できるよう筋肉が緊張状態になります。
危ない!と感じた時に体に力が入り心臓がどきどきすることや口が乾くことがありますが、これは「闘争逃走反応」が起きているといえます。この反応は一時的なもので通常危険が去るとこの反応は自然に収まります 。
しかし、トラウマを負った人ではこの反応が収まるまで時間がかかることや、少しのストレス刺激にも過剰に反応する場合があります。少しの物音にも驚いて落ち着かなかったり、安心感がもてずリラックスができなかったりする状態が続いてしまうのです。緊張状態が続くため健康の問題や睡眠の問題、記憶や注意力への影響などを抱えやすくなります。
「闘争逃走反応」は生き延びるための自動的な反応です。
トラウマを負った人が理屈では今は安全とわかっていても、危険に対する反応、生き延びるための反応は緊張状態のまま、簡単にはもとには戻らないものなのです。
【参考文献】
Cannon, W.:Bodily changes in pain, hunger, fear, and rage. Appleton, New York, 1929.
ベッセル・ヴァン・デア・コーク, 訳者 柴田浩之, 解説者 杉山登志郎(2016)
「身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法」紀伊国屋書店.
闘争・逃走反応 - Wikipedia(20240413参照)
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