top of page
IMG_4977 (2).JPEG

二次障害・トラウマ

生きるのが大変

発達障害ゆえに苦労も多い

学校や会社に行けず適応障害の診断がついたり

人とのかかわりが怖くなって社交不安症といわれたり

トラウマだってたくさんある

​どうにかしてほしい

発達障害の二次障害

悩んでいる人の後ろ姿

二次障害ってなに?

発達障害の症状に伴い二次的にあらわれる障害のことです。

​たとえばコミュニケーションの特徴などから誤解を受け、人が怖くなったりすることや、感覚過敏で環境にあわず苦しむことがあります。そのような経験から社交不安やうつ、適応障害などの二次障害になることがあります。

発達障害なのか二次障害なのか
わからないけどとにかく辛い

トラウマって災害とか事故とかでなるものですよね

障害名で決めつけることなくあなたの困っていることを紐解いていきます。

​辛さを和らげるためリラクセーションや体調管理、感情コントロールなどもおこないます。

災害や事故などで命の危険にさらされた場合はもちろん、致死性のない出来事もトラウマになるといわれています。

​度重なる叱責や失敗体験、大切にされていない経験などもトラウマになることがあります。

EMDRもするの?

二次障害にトラウマが関係している場合はEMDRも有効です。

​EMDRだけではなくあなたに合った心理療法をおこないます。

発達障害とトラウマ

症状について説明する白衣男性

 自閉スペクトラム症(Autism Spectrum Disorder ; 以下ASD)は「社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥」「行動, 興味, 活動の限定された反復的な様式」といった特徴によってDSM-5で定義されている(APA, 2000)。例えば, 他者と興味や感情を共有することの少なさや, 人間関係を発展させることの苦手な度合いの高さ, 習慣へのこだわり, 感覚刺激に対する過敏さ, あるいは鈍感さなどが特徴としてあげられている。

 ASD当事者は, 社会性の低さや感覚過敏の特徴からトラウマをもちやすく, DSM-5のPTSD, A基準には当てはまらないような比較的日常的なネガティブな体験, 例えば上司からの叱責や同級生との口論などもトラウマ化すると言われている。

 他者の表情や場の雰囲気を読むのが苦手であるため, 叱責の理由が理解できないまま, 突然叱責されたという被害感だけが残ることや, 聴覚過敏であるためにちょっとした言い争いの声にも過剰に反応してしまうことがあるためトラウマ化しやすいとも言われている(清水,2014)。

 個々のトラウマは, 「出来事や状況の組み合わせの結果として生じ」, 「身体的または感情的に有害であるか, 生命を脅かすものとして体験され」, 「機能的, 精神的, 身体的, 社会的, 感情的に影響する」ものであり, 出来事がどのように体験されるかは個人の文化的信念, 社会的サポートの有無, 発達段階などを含む様々な要因と関係すると言われている(SAMHSA, 2014)。

 ASD当事者にとっては上司や教師, 親からの叱責などの, ネガティブではあるが比較的日常的な出来事と言えることでもストレスフルに体験される。周囲からは日常的な出来事がトラウマ化しているとは認識されにくく, 適切な対応がなされていないと考えられる。

 トラウマ体験をした人が全員心的外傷後ストレス障害(Posttraumatic Stress Disorder ; 以下PTSD)の症状を示すとは限らない。トラウマ体験後, ストレスが去れば元の状態に戻る力をレジリエンスといい, 個人のレジリエンス要因として社会的支援や自分の長所や能力に対する自信などがあげられている。家庭や学校, 職場などにおける安全と安心を確保し, 自分自身の長所や能力などの強みに着目することでレジリエンス力は高まりトラウマから徐々に回復していく。

 一方, 社会性に困難のあるASD当事者は, トラウマ体験後家族や友人などによる社会的支援につながりにくく, トラウマから回復が出来ずにPTSD様の症状を呈するリスクが上がるとも言われている(Haruvi-Lamdan, Horesh, & Golan, 2018)。PTSDの症状は侵入症状, 回避, 認知と気分の陰性の変化, 過覚醒である(DSM-5)。PTSD症状とASDの特徴との関係を調べたところ, ASDがもつ社会的スキルの問題はPTSDの症状のうち, 回避を除き, 侵入症状, 認知と気分の陰性の変化, 過覚醒に関連していた(Haruvi-Lamdan, Lebendiger, Golan, & Horesh, 2019)。

【参考文献】

American Psychiatric Association (2000) Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition. 髙橋三郎・大野裕(監訳 2014)DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き, 医学書院.

清水光恵(2014)トラウマから見た大人の発達障害-その理解と治療-, 精神科治療学, 29(5), 609-614.

SAMHSA (2014) SAMHSA’s Concept of Trauma and Guidance for a Trauma-Informed Approach. 大阪教育大学学校危機メンタルサポートセンター・兵庫県こころのケアセンター訳(2018)SAMHSAのトラウマ概念とトラウマインフォームドアプローチのための手引き.

Haruvi-Lamdan N, Horesh D, Golan O. (2018) PTSD and autism spectrum disorder: Co-morbidity, gaps in research, and potential shared mechanisms. Psychol Trauma, May;10(3):290-299.

Haruvi-Lamdan N, Lebendiger S, Golan O, Horesh. (2019) Are PTSD and autistic traits related? An examination among typically developing Israeli adults. Comprehensive Psychiatry, 89, 22-27.

bottom of page