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EMDRとは

Eye Movement Desensitization and Reprocessing
眼球運動による脱感作と再処理法

目を左右に動かすトラウマの治療法です。

なにやら怪しい感じがするかもしれません。

​しかしEMDRは世界保健機関(WHO)や厚生労働省でも認められたPTSD(トラウマ)に効果のある治療法です。​

EMDRについて知りたい

左側を見ている目

EMDRってどうやるの?

​トラウマとなった記憶を思い出しながら目を左右に動かします。

トラウマとなった“過去”と目を動かす“今ここ”を行ったり来たりします。

目を動かしてトラウマが解消されるの?

​目を左右に動かすことで記憶が整理されていく、REM睡眠の時に起こっていることと同じとも考えられています。

​脳内で冷凍保存されたようになっているトラウマ記憶を通常の記憶ネットワークにつなげていく働きがあるといわれています。

EMDRってトラウマ以外にも

​効果があるの

右を向いている目
左を向いている目

過去の記憶がなくなるの

トラウマが起因する強迫性障害、適応障害、うつなどの症状にも効果が認められています。

​長く続く悲嘆も優しく癒していきます。

記憶を消すことはできません。

​あたかも今起こっているように鮮明に感じられていた記憶が、そんなこともあったなと思えるようなセピア色の過去になるイメージです。

記憶が整理されたからって

​今が辛くなくなるのかな

つらかった出来事で学んだ否定的な考えが適応的な考えに変化します

あなたを苦しめる信念が“私には価値がある”“私は尊重される人だ”“私は今安全だ”などに変わっていきます。

トラウマ・EMDRのカウンセリングはこちらから

EMDRについてもっと知りたい

知りたことがある人

EMDRのエビデンス 

 

 EMDRは1989年にアメリカの心理学者Francine Shapiroが提唱してから今日まで、さまざまな研究がおこなわれ、治療効果は根拠のあるものと認められています。

 また、世界保健機関(WHO)のホームページの「Post-traumatic stress disorder 27 May 2024」には、「PTSD の効果的な治療として最も証拠のある心理的介入は、トラウマに焦点を当てた認知行動療法と眼球運動による脱感作および再処理法 (EMDR) に基づくものです」と記載されています。

 

​適応的情報処理システム

 苦痛な出来事を経験したときに、落ち込んだり、不安になったり、怒りを感じたりします。通常私たちはその出来事を繰り返し思い出したり、人に話したり、夢に見たりしながら、原因や対処法、自分の人生における意味を見いだし、だんだんと思い出しても苦痛を伴わない過去の記憶となっていきます。

 EMDRではこのような記憶の処理を適応的情報処理システムと考えています。しかし、このような適応的情報処理ができないときがあります。出来事は機能不全の状態でその時のまま記憶され、思い出すと苦痛であり、自分自身に対し否定的な考えを持ち続けてしまいます。EMDRでは苦痛な出来事の情報を肯定的な記憶のネットワークに結びつける助けをし、その人の脳が適応的な情報処理ができるように促します。

EMDRって目を動かすだけ?

 EMDRにはいくつかの段階があり目を動かすことはそのひとつです。アセスメントやその人が持っているプラスの資源や良い記憶を強化したりもします。トラウマについて学んだり、リラクセーションや感情コントロールも必要な場合は練習したりします。準備ができたらトラウマ記憶と自分自身に対する否定的な信念に向き合い目を動かします。目を動かすことが苦手な人にはタッピングや耳への刺激などの方法もあります。自分自身に対する肯定的な信念を強化し未来へのイメージをしていきます。EMDRは過去、現在、未来に焦点を当てます。

EMDRのメリット

 EMDRは従来の心理療法と比較して、時間をかけずに治療ができるといわれています。なぜなら、脳の神経系に直接働きかけ機能不全の状態で保存されている情報を変化させるためです。眼球運動により刺激されたトラウマ記憶が良い記憶とつながり変化していくような感じです。

 メリットは他にも、トラウマ記憶となった出来事の詳細を語らなくてもいいところにあります。EMDRでは、出来事のイメージをしてもらい連想をしていくのですが、その際に話したくなければ無理に話さなくてもいいのです。ご自身のなかでイメージができ連想が変化していれば大丈夫なのです。EMDRはその人が持っている自己治癒力の働きをブロックしているものを取り除き、本来もっている力を引き出します。

 

EMDRって暴露療法?

 

 暴露療法(エクスポージャー療法)とは、不安の原因になる刺激に段階的に触れることで、その刺激に馴れる(馴化する)ことにより不安を減少させる方法です。

 EMDRでは、苦痛な記憶をターゲットにし、短く切りながら繰り返し記憶への暴露をおこないます。その際、眼球運動などの両側性の刺激を与えることで、過去の記憶と現在を行き来することになります。そのため暴露療法のように不安の原因になる刺激に対する馴化とは異なるメカニズムが働いていると考えられています。

 

EMDRは催眠療法?

 

 EMDRのセッションでは、過去の出来事を思い出しながら目を動かすといった二重注意刺激をおこないます。過去の出来事だけではなく、現在の刺激にも意識を向ける方法なので、トランス状態に入り込むことなく覚醒状態を保ちながらセッションは進んでいきます。

 しかし、EMDRの中で“安全な場所”のイメージを作ってもらうことがありますが、その場合は催眠療法の要素が含まれることもあります。

 

【参考文献】

WHO 世界保健機関ホームページ

https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/post-traumatic-stress-disorder

(20240716参照)

e-ヘルスネット 厚生労働省

https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-006.html

(20240716参照)

「こころのりんしょうa・la・carte」(2008)第27巻第2号(No.114)聖和書店.

フランシーン・シャピロ,監訳市井雅也,「EMDR外相記憶を処理する心理療法」(2004)二瓶社   

EMDR学会のホームページはこちらから

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