

EMDRとは
EMDRとは|トラウマ・つらい記憶に取り組む心理療法
「もう大丈夫」と思っているのに、心や身体が反応してしまう方へ
過去の出来事について、
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もう終わったことなのに、思い出すとつらくなる
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頭では気にしなくていいと思っているのに、身体が緊張する
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似たような場面になると、不安になったり怖くなったりする
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人間関係で同じようなつらさを繰り返している
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自分を責める気持ちがなかなかなくならない
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昔の出来事が、今の生活にも影響している
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つらかったことを人に詳しく話すことが難しい
このような場合、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)が心理療法の選択肢の一つになることがあります。
EMDRは、トラウマや強いストレス体験によって生じた心身の反応に取り組んでいく心理療法です。
EMDRとは?
EMDRは、英語の
Eye Movement Desensitization and Reprocessing
(眼球運動による脱感作と再処理法)の略称です。
つらい出来事を経験すると、その記憶が「過去の出来事」として整理されず、現在の生活の中でも強い感情や身体反応を引き起こすことがあります。
たとえば、
「もう大丈夫なはずなのに怖い」
「頭では分かっているのに身体が反応する」
「自分が悪かったのではないかと思ってしまう」
といった反応です。
EMDRでは、トラウマとなった出来事やそのときに生じた感情・身体感覚・自分自身についての考えなどに取り組みながら、記憶の処理を進めていきます。
EMDRはPTSDに対する心理療法の一つとして、世界的に研究が行われており、WHOのガイドラインでも治療の選択肢として挙げられています。
EMDRは「目を動かすだけ」の心理療法ではありません
EMDRというと、
「目を左右に動かすだけなの?」
と思われることがあります。
実際には、眼球運動はEMDRの一つの要素です。
EMDRでは、現在の状態を確認したり、安心して取り組むための準備をしたり、必要に応じて気持ちを落ち着ける方法を練習したりします。
準備が整ったうえで、トラウマ記憶に取り組み、眼球運動やタッピングなどの左右交互の刺激を用いて処理を進めていきます。
その後、現在の生活で困っていることや、これからの生活についても扱っていきます。
過去・現在・未来の3つの側面から取り組むことも、EMDRの特徴の一つです。

EMDRでは何をするの?
① 現在の状態を確認します
まず、現在困っていることやこれまでの経過についてお話をうかがいます。
必要に応じて質問紙なども用いながら、現在の状態やカウンセリングで取り組みたいことを整理します。
② 安心して取り組むための準備をします
トラウマ記憶に取り組む前に、安心できるイメージを作ったり、気持ちを落ち着けたり切り替えたりする方法を練習することがあります。
初回から無理にトラウマ記憶を扱うとは限りません。
現在の心身の状態や生活状況を確認し、その方にとって安全に進められるペースを考えます。
③ トラウマ記憶に取り組みます
準備が整ったら、つらかった出来事について、記憶・感情・身体感覚などに注意を向けながら、眼球運動やタッピングなどの左右交互の刺激を用いて処理していきます。
④ 現在と未来について取り組みます
過去の記憶だけではなく、現在の生活で反応が出やすい場面や、これからどのように過ごしていきたいかについても整理していきます。

つらかった出来事を、すべて詳しく話さなくても大丈夫です
「人に話すこと自体がつらい」「誰にも話せなかった」
「うまく言葉にできない」という方もいらっしゃいます。
EMDRでは、出来事の詳細をすべて言葉にして説明することが必須ではありません。
話したくないことを無理に話していただくのではなく、その方が安全に取り組める方法を一緒に考えながら進めていきます。
もちろん、話せる範囲でお話しいただくこともできます。
EMDRは、すぐに始めるとは限りません
トラウマの記憶に取り組むためには、現在の生活がある程度安定していることや、つらい感情に対処するための力が必要になる場合があります。
そのため、
「EMDRを受けたい=すぐにトラウマ記憶を扱う」
というわけではありません。
現在の心身の状態によっては、まず安定化やセルフケア、別の心理療法などを優先することもあります。
「今の自分はEMDRを受けても大丈夫なのかな」と迷っている方も、まずは現在の状態についてご相談ください。

EMDRを受けると、記憶がなくなるの?
EMDRは、過去の出来事そのものを忘れさせる心理療法ではありません。
目指していくのは、「今まさに起きているように感じていた記憶」が、過去の出来事として整理されていくことです。
記憶そのものは残っていても、
「思い出しても以前ほど苦しくない」
「今の自分とは別の過去の出来事だと感じられる」
「自分を責める気持ちが弱くなった」
など、記憶との関わり方が変化していくことがあります。
EMDRの回数やペースは人それぞれです
EMDRに必要な回数や進めるペースは、その方の状態や取り組む内容によって異なります。
比較的短い期間で進む方もいれば、準備に時間をかけながらゆっくり取り組む方もいます。
当相談室では、回数をあらかじめ決めるのではなく、その時々の状態を確認しながら、一緒に進め方を考えていきます。
オンラインでもEMDRを受けられます
当相談室では、オンラインでのカウンセリングにも対応しています。
遠方にお住まいの方や、通室が難しい方にもご利用いただけます。
オンラインでEMDRを行う場合も、安心して取り組める環境や、セッション後の過ごし方などを確認しながら進めます。
※オンラインでの実施が適しているかどうかは、現在の状態などを確認したうえで判断します。

よくあるご質問
Q. 初回からEMDRを受けられますか?

A. 必ずしも初回からEMDRを行うわけではありません。まず現在の状態やこれまでの経過を確認し、EMDRが適しているか、安全に取り組める状態かを一緒に考えます。必要に応じて、準備や安定化を行ってからEMDRを始めます。
Q. トラウマについて詳しく話す必要がありますか?
A. 詳細をすべてお話しいただく必要はありません。
話すことがつらい場合には、そのことも含めてご相談ください。安全に取り組める方法を考えます。
Q. EMDRは怖くないですか?
A. 過去のつらい記憶を扱うため、一時的に気持ちが揺れ動くことはあります。そのため、いきなり記憶に取り組むのではなく、現在の状態を確認し、必要な準備をしてから進めます。
Q. EMDRを受ければ必ず良くなりますか?
A. EMDRを含め、心理療法の効果や進み方には個人差があります。
現在の状態や困っていることを確認したうえで、EMDRが適しているかを一緒に検討します。
Q. 発達障害があってもEMDRを受けられますか?
A. 発達特性がある方もご相談いただけます。
発達特性そのものによる困りごとなのか、過去の傷つきやトラウマによる影響なのか、両方の可能性を考えながら整理していきます。
EMDRを受けるか迷っている方へ
「これがトラウマなのか分からない」
「自分にEMDRが合うのか分からない」
「過去のことを話すのが怖い」
そんな場合も、まずは現在困っていることからお聞かせください。
EMDRを行うことを前提にするのではなく、今のあなたにどのような支援が必要なのかを一緒に考えていきます。
EMDR・トラウマについてのご相談はこちら
初回カウンセリングでは、現在のお困りごとやこれまでの経過をお聞きし、今後の進め方をご相談します。
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EMDRについてもっと知りたい
EMDRのエビデンス
EMDRは1989年にアメリカの心理学者Francine Shapiroが提唱してから今日まで、さまざまな研究がおこなわれ、治療効果は根拠のあるものと認められています。
また、世界保健機関(WHO)のホームページの「Post-traumatic stress disorder 27 May 2024」には、「PTSD の効果的な治療として最も証拠のある心理的介入は、トラウマに焦点を当てた認知行動療法と眼球運動による脱感作および再処理法 (EMDR) に基づくものです」と記載されています。
適応的情報処理システム
苦痛な出来事を経験したときに、落ち込んだり、不安になったり、怒りを感じたりします。通常私たちはその出来事を繰り返し思い出したり、人に話したり、夢に見たりしながら、原因や対処法、自分の人生における意味を見いだし、だんだんと思い出しても苦痛を伴わない過去の記憶となっていきます。
EMDRではこのような記憶の処理を適応的情報処理システムと考えています。しかし、このような適応的情報処理ができないときがあります。出来事は機能不全の状態でその時のまま記憶され、思い出すと苦痛であり、自分自身に対し否定的な考えを持ち続けてしまいます。EMDRでは苦痛な出来事の情報を肯定的な記憶のネットワークに結びつける助けをし、その人の脳が適応的な情報処理ができるように促します。
EMDRって目を動かすだけ?
EMDRにはいくつかの段階があり目を動かすことはそのひとつです。アセスメントやその人が持っているプラスの資源や良い記憶を強化したりもします。トラウマについて学んだり、リラクセーションや感情コントロールも必要な場合は練習したりします。準備ができたらトラウマ記憶と自分自身に対する否定的な信念に向き合い目を動かします。目を動かすことが苦手な人にはタッピングや耳への刺激などの方法もあります。自分自身に対する肯定的な信念を強化し未来へのイメージをしていきます。EMDRは過去、現在、未来に焦点を当てます。
EMDRのメリット
EMDRは従来の心理療法と比較して、時間をかけずに治療ができるといわれています。なぜなら、脳の神経系に直接働きかけ機能不全の状態で保存されている情報を変化させるためです。眼球運動により刺激されたトラウマ記憶が良い記憶とつながり変化していくような感じです。
メリットは他にも、トラウマ記憶となった出来事の詳細を語らなくてもいいところにあります。EMDRでは、出来事のイメージをしてもらい連想をしていくのですが、その際に話したくなければ無理に話さなくてもいいのです。ご自身のなかでイメージができ連想が変化していれば大丈夫なのです。EMDRはその人が持っている自己治癒力の働きをブロックしているものを取り除き、本来もっている力を引き出します。
EMDRって暴露療法?
暴露療法(エクスポージャー療法)とは、不安の原因になる刺激に段階的に触れることで、その刺激に馴れる(馴化する)ことにより不安を減少させる方法です。
EMDRでは、苦痛な記憶をターゲットにし、短く切りながら繰り返し記憶への暴露をおこないます。その際、眼球運動などの両側性の刺激を与えることで、過去の記憶と現在を行き来することになります。そのため暴露療法のように不安の原因になる刺激に対する馴化とは異なるメカニズムが働いていると考えられています。
EMDRは催眠療法?
催眠療法とは少し違います。EMDRのセッションでは、過去の出来事を思い出しながら目を動かすといった二重注意刺激をおこないます。過去の出来事だけではなく、現在の刺激にも意識を向ける方法なので、トランス状態に入り込むことなく覚醒状態を保ちながらセッションは進んでいきます。
しかし、EMDRの中で“安全な場所”のイメージを作ってもらうことがありますが、その場合は催眠療法の要素が含まれることもあります。
【参考文献】
WHO 世界保健機関ホームページ
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/post-traumatic-stress-disorder
(20240716参照)
e-ヘルスネット 厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-006.html
(20240716参照)
「こころのりんしょうa・la・carte」(2008)第27巻第2号(No.114)聖和書店.
フランシーン・シャピロ,監訳市井雅也,「EMDR外相記憶を処理する心理療法」(2004)二瓶社
EMDR学会のホームページはこちらから
