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執筆者の写真裕子 小野寺

愛着障害(反応性アタッチメント症)




愛着とは幼い時に、自分の感情に対し特定の大人(主に親)が愛情をもって反応してくれることにより形成されていきます。


 

怖いときや不快なときに泣いたりぐずったりすると、大人が近くにきてあやしてくれたり快適な状態にしてくれたりします。

楽しいときやうれしい時にキャッキャと笑うと、大人もうれしそうに笑顔を返してくれます。



子どもは乳児期より特定の大人と継続的な関わりのなかで愛着をはぐくんでいきます。泣く、笑う、体の動きなどで大人に対し自分の欲求を表し、愛情をもって反応してもらうことで愛着が形成されていきます。愛されること、大切にされることで情緒が安定し、人への信頼感も生まれてきます。

 

幼い頃に養育する大人(主に親)とのあいだで安定した愛着形成ができないと、自分の感情を表すことが難しくなることがあります。人との交流のなかで楽しさや喜び、安らかさなどを感じにくくなってしまいます。そして、苦痛な状態であっても自分から助けや安らかさ、穏やかさを求めることが困難になってしまいます。

5歳までのあいだにそれらの症状があらわれた場合には、愛着障害(反応性アタッチメント症)である可能性があります。

 

愛着障害(反応性アタッチメント症)は子どもに起こる障害ですが、大人になってからもなんらかの影響がでることがあります。

 

例えば、親しい友人や恋人と情緒的な関係を築くことが難しくなる場合があります。誰かと深く付き合うことを避けることや、逆に依存的になってしまうこと、人に対し信頼感がもてなくて常に不安を抱えてしまうこともあります。

自分自身に対しても自信がもてずに自己肯定感が低くなることや、大切にされなかった自分を恥ずかしく思う気持ち、自分を責める気持ちになることもあります。


 愛着障害(反応性アタッチメント症)は、幼い頃の心の傷によるものです。

 

大人の愛着障害の症状をケアするには、愛着について整理していくことも一つの方法です。誰とどのような愛着形成をしてきたか、或いはしてもらえなかったかを整理し、今の自分が抱えている問題と関連しているか考えてみます。問題の原因や意味がわかることで一歩先に進むことができるかもしれません。


また、子どもの頃に得られなかった愛着を、大人になってからの人間関係のなかで作ることもひとつです。そんなに簡単に他者と愛着を作ることはできないかもしれませんので、まずは周囲に少しずつ頼ることや甘えることをしていきます。依存的になりやすい場合にはどこまで頼っていいか始めに決めておくといいかもしれません。


大人になった自分に余力があれば、子どもの頃の自分を可愛がることやねぎらうこと、慰めてあげることなどをしてあげてください。

 

ひとりで頑張るのが大変なときにはカウンセリングや心理療法を試してみてください。

 

誰かに頼ってもいいし甘えてもいいのです。



【参考文献】 

文部科学省 子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題

DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き

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