嫌なことは寝て忘れる?レム睡眠と記憶の整理
- 裕子 小野寺
- 21 時間前
- 読了時間: 3分

「嫌なことがあったけれど、ひと晩寝たら少し気持ちが楽になった」
そんな経験はありませんか?
私たちの脳は、眠っているあいだも、その日にあった出来事や感情を整理しています。
その中でも、感情を伴う記憶の整理に関わっていると考えられているのが、レム睡眠です。
今回は、レム睡眠と記憶の整理について、少しご紹介します。
レム睡眠って?
睡眠には、大きく分けて「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」があります。
レム睡眠の「REM」は、Rapid Eye Movement(急速眼球運動)の頭文字です。
その名前のとおり、眠っているあいだに眼球がすばやく動くことがあります。
身体は力が抜けて休んでいる一方で、脳は比較的活発に活動しているのがレム睡眠の特徴です。
夢を見やすいのも、レム睡眠のときです。
睡眠中に記憶は整理されている
私たちの脳は、起きているあいだに経験したことを、そのまま全部保存しているわけではありません。
眠っているあいだに、必要な記憶を整理したり、定着させたりしています。
特にレム睡眠は、感情を伴った記憶の処理に関わっていると考えられています。
たとえば、強くうれしかったことや、怖かったこと、嫌だったこと。
こうした感情の動きが大きかった出来事は、私たちの記憶にも残りやすいものです。
レム睡眠では、こうした「感情を伴う記憶」が優先的に処理されると考えられています。
「出来事」は覚えていても、「つらさ」は少しずつ変わる
睡眠と感情の研究では、
出来事そのものの記憶は残しながら、そこに結びついている感情の強さを調整していく
という働きが注目されています。
つまり、
「何があったか」は覚えていても、「そのときの感情」は少しずつ変化していく。
そんな記憶の整理が、眠っているあいだに行われているのかもしれません。
眠れないと、感情の調整にも影響する
では、レム睡眠が十分にとれなかったらどうなるのでしょうか。
研究では、レム睡眠が不足したり、途中で何度も目が覚めて睡眠が分断されたりすると、翌日に不快な記憶や刺激に対する反応が強くなることが示されています。
「嫌なことがあったから眠れない」
そして、
「眠れないから、翌日も嫌なことを引きずってしまう」
ということもあります。
睡眠と感情は、お互いに影響し合っているんですね。
「嫌なことは寝て忘れる」は、あながち間違いではない
もちろん、眠れば嫌な記憶が消えてなくなる、というわけではありません。
でも、眠っているあいだにも脳は働いていて、経験した出来事や、それに伴う感情を整理しています。
だからこそ、つらいことがあったときには、
「早く気持ちを切り替えなきゃ」
と頑張りすぎるより、
まずはしっかり休むこと。
それだけでも、脳が記憶や感情を整理する時間をつくることにつながります。
「嫌なことは寝て忘れる」
昔からあるこの言葉。
科学的に見ても、少し納得できるところがあるのかもしれません。
今夜は、あれこれ考えすぎずに、ゆっくり眠ってみませんか?
ハピネス発達心理相談室
【参考文献】
阿部 高志「覚醒時の情動処理におけるレム睡眠の役割」
生理心理学と精神生理学 39(1) 19‒35, 2021




