愛着とは?人とのつながり方に悩んだら
- 裕子 小野寺
- 2 分前
- 読了時間: 6分

愛着とは?人とのつながり方
「人に頼るのが苦手」
「親しくなると、かえって不安になる」
「相手に嫌われていないか、いつも気になってしまう」
「誰かとつながりたいのに、近づくのが怖い」
こうした人間関係の悩みの背景には、「愛着」が関係していることがあります。
愛着という言葉は、もともとは子どもと養育者との関係について研究されてきたものです。
子どもは、怖いときや不安なときに安心できる人を求めます。そして、安心できる相手との関係の中で、「困ったときには助けてもらえる」「自分の気持ちを受け止めてもらえる」といった感覚を少しずつ身につけていきます。
こうした経験は、大人になってからの人との関わり方や、自分の感情との付き合い方にも影響します。
愛着には、さまざまな捉え方があります
愛着については、エインズワースによる「安定型・回避型・アンビバレント型(抵抗型)」などの分類がよく知られています。
一方で、成人の愛着やトラウマを考えるときには、子どもの頃の体験から身につけた「人とのつながり方」や「感情の扱い方」という視点から捉えることもあります。
ここでは、その一つの考え方として、3つの特徴を紹介します。
① 愛着軽視型(回避型)
子どもの頃、
「泣いても仕方がない」
「自分で何とかしなさい」
「そんなことで悲しむな」
など、自分の感情や欲求を抑えることが求められる環境にいると、感情を表現したり、人に頼ったりすることを避けるようになることがあります。
大人になってからも、感情的な親密さを避けたり、人との関係から満足感や幸福感を得にくかったりすることがあります。
心の中には、
「他者は信頼できない」
「親密になるのは安全ではない」
「感情を持つのは危険だ」
「弱みを見せるのは危険だ」
といった考えが根づいていることもあります。
一人でいることに慣れていても、本当は「誰かとつながりたい」という気持ちを持っていることもあります。
② とらわれ型
こちらは、反対に、感情や欲求を強く表現することで、相手とのつながりを保とうとする傾向です。
子どもの頃、「強く訴えなければ気づいてもらえない」「感情を大きく表現したときにだけ応えてもらえる」といった経験が重なると、感情を強く表現することで不安を和らげようとすることがあります。
大人になってからも、
「嫌われたのではないか」
「相手の気持ちが離れてしまったのではないか」
と不安になり、相手の反応を何度も確認したり、感情に圧倒されたりすることがあります。
心の中には、
「私はいつも傷つけられる」
「私は十分ではない」
「誰も分かってくれない」
「この気持ちには耐えられない」
といった思いがあることもあります。
③ 未解決・無秩序型
幼少期に、大切な人との喪失や虐待など、強い恐怖を伴う体験がある場合には、「怖いときにどうやって安心すればよいのか」という方法そのものが身につきにくいことがあります。
安心したいのに、その相手が怖い。
近づきたいのに、近づくことも怖い。
そうした矛盾した状態の中で、混乱したり、強い不安に襲われたり、解離などの反応が現れることがあります。
このような特徴は、①や②のような愛着のパターンに重なって現れることもあります。
心の中には、
「他者は私を傷つけ、拒絶する」
「安心することは危険だ」
「この恐怖や不安を避ける方法はない」
「思い出すことは危険だ」
といった感覚が残っていることがあります。
これは「性格」ではなく「生きるための方法」
ここで大切なのは、こうした特徴を「その人の性格」と決めつけないことです。
子どもの頃の環境の中で、
「こうすれば傷つかずにすむ」
と身につけた、生きるための方法である場合があります。
たとえば、
「人に頼らないほうが安全」
「感情を見せないほうが傷つかない」
「強く訴えなければ、自分のことを分かってもらえない」
といった方法が、その頃の自分を守ってくれていたのかもしれません。
けれど、大人になって環境が変わると、その方法が人間関係の中で苦しさにつながることがあります。
愛着は、大人になってからも変えていくことができます
愛着は、子どもの頃に決まって、その後ずっと変わらないものではありません。
安心できる人との関係や、自分の感情を安全に扱う経験を重ねることで、少しずつ「人とのつながり方」を変えていくことができます。
たとえば、
自分の感情に気づく
感情を安全に表現する
相手の気持ちと自分の気持ちを区別する
「今ここは安全だ」と感じる経験を重ねる
安心できる人との関係の中で、気持ちを共有する
過去の体験によって身についた考え方を見直す
子どもの頃の自分に必要だった安心や理解を、今の自分から与えていく
こうした経験が、愛着の安定につながっていくことがあります。
心理療法では、こうした過程を支えるために、情動調律や共感、安全な場所のイメージ、感情の調整、過去の体験への取り組みなどを用いることがあります。
「安心できる場所」を頭の中に思い浮かべることも、その一つです。
また、過去の自分を責めるのではなく、
「そのときの自分は、そうすることで何とか頑張っていたんだ」
と理解していくことも大切です。
愛着が安定すると変わること
愛着が安定していくことは、単に「人間関係がうまくなる」ということだけではありません。
自分の気持ちを理解し、調整する力。
「自分はこれでいい」と感じられる感覚。
困ったときに人を信頼して助けを求める力。
誰かに愛情を与えたり、受け取ったりする力。
そして、自分と相手の気持ちを感じながら、一緒に過ごす力。
そうしたものが少しずつ育っていきます。
つまり、愛着の安定とは、
「自分自身とのつながり」と「人とのつながり」を取り戻していくこと
とも言えるのではないでしょうか。
人とのつながりが怖くなったあなたへ
もし、これまでの人間関係の中で、
「人を信じるのが怖い」
「近づきたいのに、近づくと苦しくなる」
「誰かに頼ることができない」
「感情が大きくなってしまう」
と感じることがあったとしても、それはあなたが「人間関係が苦手な人」だからとは限りません。
これまでの経験の中で、自分を守るために身につけてきた方法があるのかもしれません。
そして、その方法は、これからの経験の中で少しずつ変えていくことができます。
安心できる人との関係の中で、
「分かってもらえた」
「気持ちを受け止めてもらえた」
「頼っても大丈夫だった」
という経験を重ねる。
その積み重ねが、新しい人とのつながり方を育てていくことがあります。
過去を変えることはできません。
けれど、過去の経験によって身についた「人とのつながり方」を、これから少しずつ変えていくことはできます。
安心して人とつながれる感覚は、何歳からでも育てていくことができます。
愛着とは?人とのつながり方🌸
【参考】
Debra Wesselmann,MS,LIMHP (2026)「愛着外傷を有する成人に対するEMDR愛着焦点化療法」日本EMDR学会第21回ワークショップ継続研修




