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- ホログラフィトーク体験
ホログラフィートークを受けてみて トラウマの治療法のひとつにホログラフィトークがあります。 ホログラフィトークは軽催眠のなかで時間を遡り、過去の出来事と向き合い解決法を自らみつけていくような心理療法です。 私自身人間関係で悩むこともあり、スーパーバイザーの先生から勧められ一度ホログラフィトークを受けてみました。 まず、今の自分の悩みの核となっていることをみつけ、それを一番初めに感じた時まで時間を遡ります。 私の場合は小学校4年生くらいの出来事まで遡り、意地悪だった同級生にされたことが思い出されました。イメージの中で、なんでそんなことをするのとその時言えなかったことを言い、先生からも意地悪するなと注意をしてもらいました。これまで意地悪された自分を恥ずかしく思っていたのですが、自分が言いたかったことをいい、周囲にもわかってもらえたことによりその思いが消えていく感じがしました。 その後、時は進み大人になってからの辛い記憶が思い出されました。そのことについても思いを言葉にし、聞いてもらい、寄り添ってもらえる体験を通し、こんな自分でもいいかと思えるようになりました。 そして仕上げに(?)光のエレベーターに悩みの核となっていた人を乗せ天に送り、代わりに理想の人を自分のもとへ送ってもらうイメージをします。理想の人がエレベーターに乗り天から降りてくるのですが、これはかなりハッピーな気分になります。 最後には自分にとって何が必要か、そのためには何をすればいいのかとの問いに対し、自分の中から素直な答えがでてきます。悩みの解決法が自分の中からでてくるので、すごく腑に落ちるというかすんなりと受け入れることができ、自分が生きていく上での指針にもなります。 私の場合は1回のセッションで終了しましたが、どのように進むか、どのように感じられるかは人によって違いがあると思います。試すときはよくカウンセラーさんに相談してみてください。 🍀発達障害・トラウマ専門カウンセリング🍀 EMDRやホログラフィートーク、TSプロトコールなど オンラインでも対応しています お気軽にお問い合わせください。 ハピネス発達心理相談室 https://www.hapi-soudan.com/
- ホログラフィートーク・ベーシック
ホログラフィートークというトラウマの心理療法のワークショップに参加してきました。 ホログラフィートークでは、過去に得ることのできなかった安心安全感や愛される感じ、自分を尊重される感覚を、昔に戻りイメージの中で体感してもらいます。自分自身で感じること、体感することで情動が動きだします。情動とともに自分は安全だ、愛され尊重される存在だということを身をもって感じ、その感覚が今の自分に統合され心の奥から癒されていきます。 ホログラフィートークのセッションでは、今もっているネガティブな感情や身体症状をてがかりに昔の時へ時間をさかのぼります。問題の起源となっている出来事があった過去まで戻っていきます。過去のイメージに入ることに不安を感じることもありますが、セラピストが安全に導いてくれるので大丈夫です。セラピストが見守るなか、リラックスして過去の自分と対話をします。 セッションの回数は人それぞれです。だいたい1回90分くらいのセッションとなります。1回で終了することもありますし、何回かに分けてじっくり行う場合もあります。 ホログラフィートークの特徴は、問題の起源となった出来事が特定されていなくても良いところにあります。EMDRなど他のトラウマ療法ではターゲットとなる記憶を特定しますが、ホログラフィートークは今のネガティブな感情や身体感覚から問題の起源を辿っていくので、意識にのぼってこない出来事に対してもアプローチができます。 もう一つの特徴は自分自身で問題を解決していくところにあります。過去の自分と対話し、望みを聴き、問題となっていることを解決します。自分で問題を解決することで自信や自己効力感が高まります。 ホログラフィートークは嶺輝子先生が開発した心理療法です。トラウマや愛着の問題、複雑性PTSDなどに効果があるといわれています。 Holography Talk ホームページ https://www.holographytalk.com/ 当相談室でも今後準備ができ次第カウンセリングに取り入れてまいります。受けてみたい方やどのようなものか気になる方はお気軽にお問合せください。 🍀発達障害・トラウマ専門カウンセリング🍀 EMDRやホログラフィートーク、TSプロトコールなど オンラインでも対応しています お気軽にお問い合わせください。 ハピネス発達心理相談室 https://www.hapi-soudan.com/
- 認知症とADHD、高齢期に見分けにくい症状
発達障害者支援法が施行されてから約20年が経過し、発達障害への認知と理解は深まりつつあります。特に若い世代では、早期発見・早期療育の重要性が認識され、適切な支援につながるケースが増えています。 しかし、もっと上の世代、特に高齢の方々においては、発達障害が十分に認知されておらず、適切な支援を受けられていない現状があります。 近年、高齢の発達障害の方が認知症と誤診されるケースが報告されています。加齢に伴う物忘れや注意力の低下が、認知症の症状と類似しているためです。 例えば、物忘れについて、認知症の場合は記憶そのものが欠落するのに対し、ADHDの場合は注意障害によるものといった違いがあります。しかし、これらの違いを鑑別するのは難しい場合があるようです。 若い頃は自身の工夫や周囲の理解によって特性をカバーできていたとしても、加齢に伴い認知機能が低下することで、不注意などの特性が表面化しやすくなることがあります。 特に、発達障害という言葉が一般的でなかった時代を生きてきた方々は、自身の特性が何かもわからず、生きづらさを抱えながらも懸命に生活を送ってきた可能性があります。 認知症とADHDの鑑別は専門家でも難しい場合があります。もし、長年生きづらさを感じてこられた方は診察時にその旨を医師に伝えてみてください。 また、ADHDと診断された場合は、年齢に関わらず、カウンセリングなどの支援を受けることで、より快適な生活を送ることが可能です。お気軽にご相談ください。 【参考文献】 認知症と見分けにくい高齢者の発達障害を見逃がさないために(佐々木博之) | | 記事一覧 | 医学界新聞 | 医学書院 (2025/3/20参照)
- 知的障害と大学
先日、筑波大学で開催された研修会「知的障害と大学」に参加しました。 日本では少子化が進み、大学の入学者数も減少し、定員割れが増えると予測されています。そのため、大学側も多様な学生を受け入れる必要性が高まっており、学生の確保に向けた取り組みが進められています。 現在、知的障害特別支援学校高等部から高等教育機関(大学・短大・専門学校)への進学率はわずか0.7%です。その他の進路として、就職が20.8%、福祉関係の施設への入所・通所が60%以上を占めています。このことからも、知的障害のある方が成人後に教育を受ける機会がほとんどないのが現状であることが分かります。 海外では、知的障害のある方を対象とした履修コースを提供する大学もありますが、まだまだ数は限られています。日本においても、「もっと学びたい」と願う知的障害のある方が、高等学校卒業後に学べる環境を整えることは重要な課題です。 しかし、現状の大学のカリキュラムをそのまま知的障害のある方に適用するのは難しい側面があります。単に授業に参加して座っているだけでは、十分な学びにつながらないためです。また、日本では「教育の本質を変更しない」という合理的配慮の考え方のもと、知的障害のある方向けにカリキュラムを変更することは基本的に行われていません。 今回の研修会では、神戸大学の取り組みなども紹介され、知的障害のある方に対して大学がどのように貢献できるかが模索されていることが分かりました。今後さらに大学での取り組みはひろがっていくのではないでしょうか。 私自身は教育について専門的な知識があるわけではありませんが、学びの在り方は今後大きく変化していくのではないかと感じています。 AIの普及により、情報をすぐに調べたり、論文を要約したりできる時代になりました。そうした状況の中で、私たちが本当に学ぶべきことは何なのかを考えると、従来のIQや偏差値といった尺度の重要性は薄れていくのかもしれません。 知的障害や発達障害があっても、これまでの基準にとらわれず、それぞれの「できること」や「やりたいこと」に応じて自由に学べる未来が訪れるのではないか、そんな可能性を思い描いています。 筑波大学ダボットプロジェクト「知的障害と大学ー共に学べる場を求めてー」2025年3月13日より
- EMDRによる回復の早さ
EMDRによるトラウマ治療では、想像以上に早く回復が進むことがあり、その変化に驚かされることがあります。 治療を始める前は、トラウマとなった出来事を思い出すだけで怖くて苦しく、悲しみに押しつぶされそうになります。そして、「自分はダメな人間だ」「自分が悪い」「恥ずかしい存在だ」といったネガティブな思いに深く囚われてしまうことが少なくありません。 しかし、目の動きを使った脱感作のプロセスに入ると、これまで恐れていた相手に心の中で言い返せるようになったり、「自分が悪いわけではなかった」と気づいたりします。さらには、その出来事を乗り越えたことで自信を取り戻すこともできるのです。 驚くほど早く変化が訪れることもあり、早い方では2、3回のセッションで「もう過去のこと」「今はもう大丈夫」と思えるようになります。 絶望の中で訪れた方が、セッションを終える頃には笑顔になり、「来てよかった」と言って帰っていく…その瞬間に立ち会うたびに、もっと良いトラウマ治療を提供したい、もっと力になりたいと強く思います。 ただ、EMDRがすべての方に効果があるわけではありません。人それぞれに合う心理療法は異なり、EMDR以外の方法がより適している場合もあります。 大切なのは、自分に合った治療法を見つけること。主治医やカウンセラーと相談しながら、最適な方法を選んでいくことをおすすめします。
- 自責と子どもの人権
子どもの頃のトラウマ体験や愛着の問題を抱えている人には、「自分が悪い」「自分には価値がない」と考えてしまう人がいます。 このように自分自身に対し否定的な信念をもってしまうのもトラウマの症状のひとつで、「否定的な自己概念」と言われています。 子どもの頃に起こった出来事により「自分が悪い」との考えを学習してしまうのですが、本当に自分が悪かったのでしょうか。 「殴られたのは自分が悪い子だから」「大切にされないのは自分に価値がないから」本当にそうでしょうか。 人間の子どもは生まれてすぐに自立はできません。子どものうちは誰かに守ってもらう必要があります。成長する過程で保護や配慮が必要であり、それらは子どもの権利として定められています。国際連合総会で「子どもの権利条約」が成立しており、日本でも1994年にこの条約に入りました。権利条約の54条の条文のなかからいくつか紹介します。 第12条「意見を表す権利」子供には自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は十分考慮されなければなりません。 第19条「あらゆる暴力からの保護」どんなかたちであれ子どもが暴力を振るわれたり不当な扱いなどを受けたりすることがないように国は子どもたちを守らなければなりません。 第27条「生活水準の確保」子どもは心やからだが健やかに成長できるような生活を送る権利をもっています。 第31条「休み、遊ぶ権利」子どもは休んだり遊んだり文化芸術活動に参加したりする権利をもっています。 第34条「性的搾取からの保護」国は子どもが児童ポルノや児童買春などに利用されたり、性的な虐待を受けたりすることがないように守らなければなりません。 第36条「あらゆる搾取からの保護」国はどんなかたちでも子どもの幸せをうばって利益を得るようなことから子どもを守らなければなりません。 第39条「被害にあった子どもの回復と社会復帰」虐待、人間的でない扱い、戦争などの被害にあった子どもは、心やからだの傷をなおし、社会にもどれるように支援を受けることができます。 公益財団法人 日本ユニセフ協会 子どもの権利条約 https://www.unicef.or.jp/crc/(20250131 参照) 誰にでも人権があり子どもにも権利があります。でもその権利は守られてきたでしょうか。 もし自分を養育する立場にある大人が権利を守らなかったら子どもはどうなるのでしょう。権利を守らない大人を正すことは無力な子どもにはできません。絶望のなか子どもが唯一できることは「自分が悪い」と思うことです。 「自分が悪いから殴られるんだ、自分に価値がないから大切にされないんだ」。そう思うことで自分がいい子になれば現状を変えることができるのだと、わずかでもコントロール感がもてるのです。「自分が悪い」と思うことが一縷の望みになるのです。 子どもの頃にもった自分自身に対する否定的な信念は、大人になってもその人の人生に影響します。ちょっとしたことでも「自分が悪い」「自分には価値がない」との思いが湧き出てきてしまい、人間関係がうまくいかなくなったり、能力を十分に発揮できなくなったりすることがあります。 そのような時には自分の権利は十分に守られてきたのか、子どもの自分に問いかけてみましょう。周囲の大人が子どもの権利をないがしろにしていたとしたら、悪いのは子どもでしょうか大人でしょうか。 もしも電車であなたの隣に座った幼い子が、「殴られたのは自分が悪い子だから」「大切にされないのは自分に価値がないから」と言っていたら、あなたは何と言ってあげますか。
- 大学等高等教育における発達障害
発達障害 大学にはどのくらいいるの? どんな支援があるの? 2024年4月1日から民間事業者における障害をもった方に対する合理的配慮の提供が義務化されました。 大学などの高等教育でも国立だけではなく私立学校も合理的配慮の提供が義務となり、より一層障害をもった方に対する学修支援に関心が集まっているようです。 日本学生支援機構(JASSO)の調査よると、大学等(大学、短期大学、高等専門学校)に通う障害をもつ学生数は増加傾向にあり、2023年では58,141人で全体の学生数の1.79%となります。そのうち発達障害をもつ学生は11,706人で、障害をもつ学生の20.1%となっています。 ※JASSOが調査した大学等の数は1,168校、学生数3,247,212人。回答率100%。 発達障害には、限局性学習症(SLD)、注意欠如多動症(ADHD)、自閉スペクトラム症(ASD)、ADHD+ASDなど発達障害の重複などがあります。 DSMなどの診断基準でいうと神経発達症群としてチックなどもあるのですが、JASSOの調査では上記4つで分類しています。 では実際に支援を受けている発達障害をもつ学生はどのくらいいるのでしょう。 大学等に通う発達障害11,706人のうち支援を受けている学生は8,227人で、おおよそ70%の方が学校での支援につながっているようです。 その内訳は下記のようになっています。 大学等に通う発達障害をもつ学生数(人) そのうち支援を受けている学生数(人) 限局性学習症(SLD) 309 228 注意欠如多動症(ADHD) 4,090 2,785 自閉スペクトラム症(ASD) 4,929 3,388 発達障害の重複 2,378 1,826 計 11,706 8,227 次にどのような支援がありどのくらいの学校が支援をおこなっているのかを表にしました。 支援内容 実施校(1,168校中) 配慮依頼文書の配布 534 授業内容の代替、提出期限延長等 400 出席に関する配慮 389 講義に関する配慮 359 教室内座席配慮 313 学習指導 280 注意事項等文書伝達 273 履修支援 237 試験時間延長・別室受験 223 解答方法配慮 148 (複数回答あり) 他にもいろいろな配慮がありますが、実施校数の多いものを抜粋して載せています。 大学等に現在通われている方や、今後進学を考えている方など以上参考にしてもらえると幸いです。 ただ、今回調査結果をみて感じたことは、発達障害をもつ人の割合が少ないなということです。大学等に通う学生数が3,247,212人のうち発達障害をもつ学生は11,706人となっています。割合でいうと0.36%です。 文科省が発表している調査では小中学校の児童生徒のうち8.8%に特別な教育的支援が必要だとの結果がでていることから、小中学生の8.8%に「発達障害の可能性」があるともいわれています。(そのように言い切れるかは疑問が残りますが) それでも、小中学校で発達障害の可能性がある人数と大学に在籍している人数の割合、8.8%と0.36%の違いは何なのか考える必要がありそうです。 【参考文献】 日本学生支援機構「令和 5 年度(2023 年度)大学、短期大学及び高等専門学校における 障害のある学生の修学支援に関する実態調査結果報告書」 https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_shogai_syugaku/2023.html(20241125参照) 文部科学省「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する 調査結果について」 https://www.mext.go.jp/content/20230524-mext-tokubetu01-000026255_01.pdf(20241125参照) 日本精神神経学会「DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引き」医学書院
- オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン
毎年11月は「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」期間です。 虐待の話をするときは少し身構えてしまいます。「虐待」という言葉がとても強烈にかんじられるからかもしれません。最近では「虐待」ではなく「マルトリートメント(不適切な関わり)」という言い方もあるようです。 虐待について知るのが怖い、世の中に虐待があるという現実から目をそらしたくなる、どこか遠い出来事にしたくなる、そんな気持ちもあります。 しかし、現実には児童相談所における児童虐待相談対応の件数は20万件を超え、虐待により命を落とす子どもも年間70件以上になっています。 虐待により命を落とさずにすんだとしても心にとても大きな傷を残します。それは大人になっても心理面、認知面、身体面などに影響をします。 不安な気持ちや自分には価値がないと感じたり、心の傷を感じないようにアルコールの力をかりて体を壊したりと様々な影響がでるといわれています。 児童虐待には、身体的虐待、心理的虐待、性的虐待、ネグレクトがあります。単独で発生するだけではなくいくつも重なっておこる場合もあります。児童相談所での相談の割合では心理的虐待が多いようです。また、虐待は世代間で連鎖するともいわれており、加害をおこなっている親も子どもの頃に被害にあっていることもあります。 虐待を防ぐためには親の責任を問うだけではなく、社会全体で考えていかなければなりません。 こども家庭庁のとりくみの「オレンジリボン・児童虐待防止推進キャンペーン」は11月1日から30日までで、子どもの虐待防止のための広報、啓発活動が行われるようです。 これを機会に虐待について目をそらさずに考えていけたらいいのではないでしょうか。 オレンジリボン運動 - 子ども虐待防止 児童虐待防止推進特設サイト
- マジョリティ側の特権について考える
マジョリティ側の特権の可視化について上智大学の山口真紀子先生のお話をEMDR学会で聴く機会がありました。 まずマジョリティとは多数派を意味しますが、必ずしも数の違いだけではなくパワーや特権があり優位な情況にいる人を指すこともあります。一方のマイノリティは少数派で数が少ない人たちや、もともと持っているパワーや特権が少ない人たちのことをいいます。 発達障害について考えますと、マジョリティである定型発達の人たちが特権をもっていることになります。 定型発達の人たちは自分たちの過ごしやすい明るさや温度、聞こえやすい音に調整された環境で過ごせるという特権があります。また、社会の構造が定型発達のコミュニケーションの方法や社会性などがもとになっている、という特権があるといえます。学校のしくみも定型発達向けに作られておりそこに馴染める特権、先生やリーダー的な人と同じような感覚をもともともっているという特権があるかもしれません。 特権をもっていない発達障害の人たちは、その分頑張らないとなりません。感覚の違いによる不快感を我慢したり、コミュニケーションの方法が違う人たちに合わせて本来の自分を隠したり、わかりにくい社会の仕組みをどうにか理解したりしなければなりません。 最近では合理的配慮といってその違いに対する配慮も多くなってきました。 しかし、まだまだ行き届かないところやそのような配慮を逆に差別だと言われたりすることもあります。 山口先生はこのようなマイノリティの人たちに対しどう支援するかよりも、まずはマジョリティの人たちが自分たちのもっている特権に気づくことが大切だといっています。 マジョリティ寄りの社会構造になっている世の中で自分たちが特権をもっていることに気づき、同じ世の中で苦しい経験をしている人たちがいることに目を向ける、そうすることで差別のある社会構造を変えていけると考えられています。 【参考文献】 上智大学「立場の心理学からマジョリティ特権と構造的な差別を可視化する」出口真紀子 https://www.sophia.ac.jp/jpn/article/feature/the-knot/the-knot-0011/(20241004参照) 日本EMDR学会第19回学術大会特別講演「特権(Privilege)について」出口真紀子
- 闘争逃走反応
「闘争逃走反応」とは、生理学者のCanonが提唱した、自律神経の交感神経が危険を感じた時に「闘うか、逃げるか」を迫るという神経反応のことです。 「闘うか、逃げるか」するため、すぐ動けるように身体に反応が起こります。筋肉に力を供給するため心拍数や呼吸が速くなり、血圧が高くなります。すぐに危険に対応できるよう筋肉が緊張状態になります。 危ない!と感じた時に体に力が入り心臓がどきどきすることや口が乾くことがありますが、これは「闘争逃走反応」が起きているといえます。この反応は一時的なもので通常危険が去るとこの反応は自然に収まります 。 しかし、トラウマを負った人ではこの反応が収まるまで時間がかかることや、少しのストレス刺激にも過剰に反応する場合があります。少しの物音にも驚いて落ち着かなかったり、安心感がもてずリラックスができなかったりする状態が続いてしまうのです。緊張状態が続くため健康の問題や睡眠の問題、記憶や注意力への影響などを抱えやすくなります。 「闘争逃走反応」は生き延びるための自動的な反応です。 トラウマを負った人が理屈では今は安全とわかっていても、危険に対する反応、生き延びるための反応は緊張状態のまま、簡単にはもとには戻らないものなのです。 【参考文献】 Cannon, W.:Bodily changes in pain, hunger, fear, and rage. Appleton, New York, 1929. ベッセル・ヴァン・デア・コーク, 訳者 柴田浩之, 解説者 杉山登志郎(2016) 「身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法」紀伊国屋書店. 闘争・逃走反応 - Wikipedia(20240413参照)
- LD学習障害(限局性学習症:Specific Learning Disorder: SLD)
限局性学習症(学習障害、LD)は、医学的な表現をするとLearning Disorder、教育的立場ではLearning Disabilityと2つの考え方があります。 〇医学的には、神経発達症(発達障害)のひとつに分類されています。 読みの問題では、不正確で速度が遅いことや、発音や意味理解、読字の困難さなどがあり、 書くことの問題では、誤字脱字、文法の間違い、段落をまとめられない、などがあります。 算数技能の問題では、数字の概念や計算の習得、数学的推論が難しいことなどがみられます。 これらの問題のうち少なくとも1つが存在し6か月以上続いている状態のことを限局性学習症といいます。 〇教育的立場の学習症は、全般的な知的発達に遅れはないものの、「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算する」「推論する」といった学習に必要な能力のうち、一つないしいくつかがうまく習得できず、学習するにあたり困難がある状態のことをいいます。 LD学習障害(限局性学習症:Specific Learning Disorder: SLD) 〇発達性ディスレクシア(発達性読み書き障害) 限局性学習症の一つに分類 されており、聴覚や視覚などの感覚障害がなく知的発達も遅れがないが、文字などがなかなか習得できない状態 をいいます。 ひらがなやカタカナ、漢字をなかなか覚えられないことや、音読の速度が遅かったり、読み飛ばしが多かったりします。 学習障害(限局性学習症)は努力しても文字や数を覚えるのが困難なため、特に学習面での成功体験が得られにくくなります。周囲からは努力不足と誤解されることもあり、自信を失い消極的になることもあります。 学習障害がある場合、学校や職場で合理的配慮として苦手なところを補う代替措置を考えてもらうとよいでしょう。書く代わりにパソコンやタブレットの使用、読むことが苦手なら読み上げてくれるアプリを使う、試験の時間延長などの配慮が考えられます。 【参考文献】 厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-004.html 文部科学省 https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/mext_00808.html(20240404) 発達性ディスレクシア研究会「ディスレクシアを理解するために」
- ADHD混合型と不注意優勢型
注意欠如多動症(Attention -Deficit/Hyperactivity Disorder:ADHD) ADHDとは、不注意や多動性、衝動性がみられる発達障害のひとつです。 不注意の面では、忘れ物や失くしものが多い、約束の時間を忘れる、提出物が期限までに間に合わないなどが問題として表れます。 多動や衝動的な面では、順番を待てない、しゃべりすぎて失言してしまう、他の人の邪魔をしてしまうことなどがあります。 ○混合型と不注意優勢型 ADHDには不注意と多動-衝動性が共にみられる混合型と、不注意がみられるが多動-衝動性の症状は診断基準をみたさない不注意優勢型があります。 ○混合型と不注意優勢型の友人関係 混合型は一般的に社交性があり友達を作ることは問題なくできます。しかし、不注意や衝動性により交友関係を維持することが難しくなってしまう場合があります。 一方、不注意優勢型は友情関係を始めることが難しいため、いじめや仲間外れになるリスクが高くなるといわれています。 ○混合型と不注意優勢型の診断時期 混合型は子どもの頃から落ち着きのなさが目立つことや、しばしば怪我が多かったりするため周囲から気にかけられやすいところがあります。そのため、ADHDかなと周囲が気づき早いうちから診断につながることもあります。 一方、不注意優勢型は、小さいうちは不注意なところを周囲がカバーしてくれることが多いため、ADHDの症状を見逃されやすいといわれています。スケジュール管理や計画を自分で立てなければならない状況になると問題が表面化し診断につながっていくようです。 【参考文献】 American Psychiatric Association (2000) Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition. 髙橋三郎・大野裕(監訳 2014)DSM-5精神疾患の分類と診断の手引き, 医学書院. メアリー・V・ソラント, 訳者 中島美鈴, 佐藤美奈子「成人ADHDの認知行動療法-実行機能障害の治療のために-」(2015)聖和書店.












