知的障害と大学
- 裕子 小野寺
- 3月14日
- 読了時間: 2分
先日、筑波大学で開催された研修会「知的障害と大学」に参加しました。
日本では少子化が進み、大学の入学者数も減少し、定員割れが増えると予測されています。そのため、大学側も多様な学生を受け入れる必要性が高まっており、学生の確保に向けた取り組みが進められています。
現在、知的障害特別支援学校高等部から高等教育機関(大学・短大・専門学校)への進学率はわずか0.7%です。その他の進路として、就職が20.8%、福祉関係の施設への入所・通所が60%以上を占めています。このことからも、知的障害のある方が成人後に教育を受ける機会がほとんどないのが現状であることが分かります。
海外では、知的障害のある方を対象とした履修コースを提供する大学もありますが、まだまだ数は限られています。日本においても、「もっと学びたい」と願う知的障害のある方が、高等学校卒業後に学べる環境を整えることは重要な課題です。
しかし、現状の大学のカリキュラムをそのまま知的障害のある方に適用するのは難しい側面があります。単に授業に参加して座っているだけでは、十分な学びにつながらないためです。また、日本では「教育の本質を変更しない」という合理的配慮の考え方のもと、知的障害のある方向けにカリキュラムを変更することは基本的に行われていません。
今回の研修会では、神戸大学の取り組みなども紹介され、知的障害のある方に対して大学がどのように貢献できるかが模索されていることが分かりました。今後さらに大学での取り組みはひろがっていくのではないでしょうか。
私自身は教育について専門的な知識があるわけではありませんが、学びの在り方は今後大きく変化していくのではないかと感じています。
AIの普及により、情報をすぐに調べたり、論文を要約したりできる時代になりました。そうした状況の中で、私たちが本当に学ぶべきことは何なのかを考えると、従来のIQや偏差値といった尺度の重要性は薄れていくのかもしれません。
知的障害や発達障害があっても、これまでの基準にとらわれず、それぞれの「できること」や「やりたいこと」に応じて自由に学べる未来が訪れるのではないか、そんな可能性を思い描いています。
筑波大学ダボットプロジェクト「知的障害と大学ー共に学べる場を求めてー」2025年3月13日より




