集中のしかたが違う―モノトロピズムという視点―
- 裕子 小野寺
- 2025年12月19日
- 読了時間: 2分

「集中しすぎる」のではなく、「集中のしかたが違う」―モノトロピズムという視点―
「一つのことに極端に集中してしまう」「切り替えが苦手」こうした特徴は、自閉スペクトラム症(ASD)の特性として語られることがあります。
しかしそれは、「集中しすぎている」のではなく、注意の向け方そのものが異なると捉えることもできます。その理解の手がかりとなるのが、モノトロピズム(Monotropism)という理論です。
モノトロピズムとは、注意を一度に少数の対象へ深く向ける注意のスタイルのこと。多くのことに同時に注意を向けるスタイルと比べると、一点を強く照らすスポットライトのような集中が起こります。
この特性があると、興味のある分野には非常に深く没頭できます。時間を忘れて集中が続き、学習や創造的な活動に力を発揮しやすい、いわゆるフロー状態に入りやすいことも特徴です。
一方で、その注意を急に別の対象へ向けるには大きな負荷がかかります。突然の予定変更や声かけ、同時進行の作業などは、意思や努力の問題ではなく、注意の仕組み自体に強い負担を与えます。
そのため、支援の視点は「集中をやめさせる」ことではなく、集中できる流れをどう守るかに置くことが重要になります。
・中断をできるだけ減らす
・切り替えには予告と時間を確保する
・一度に一つの作業で進められる環境を整える
・強い興味や関心を、安心や回復の資源として尊重する
こうした工夫によって、その人が本来持っている力は、無理なく自然に発揮されやすくなります。
モノトロピズムは欠陥ではありません。世界と深く関わるための、ひとつの注意のスタイルです。
「集中できない/しすぎる」という二分法ではなく、集中のしかたの違いとして理解することが、本人にとっても周囲にとっても、より安心につながります。



