予測符号化理論と発達障害
- 裕子 小野寺
- 9月16日
- 読了時間: 2分

予測符号化理論と発達障害 — 支援に生かせるヒント
1️⃣ 予測符号化理論とは?
予測符号化理論は、脳の働きを説明する最近注目の理論です。かんたんに言うと、「脳は未来を予測して動いている」という考え方。
●脳はつねに「次に何が起こるか」を予想する
●実際に起きたことと比べて、ズレ(予測誤差)を修正する
●この繰り返しで、世界を理解したり行動したりしている
この理論は「ベイズ推定」という確率の考え方に似ていて、新しい情報が入るたびに予測をアップデートしているイメージです。
2️⃣ 発達障害との関係
自閉スペクトラム症(ASD)やADHDなど、発達障害がある人はこの「予測」の仕組みがうまく働きにくいことがあるといわれています。れ
●予測が外れると強いストレスを感じる
●突然の予定変更が苦手
●感覚過敏で、音や光などの刺激を予測しづらい
●先の見通しがないと、頭の中が不安でいっぱいになる
結果として、毎日の生活や学校・職場で疲れやすくなったり、パニックや不安、強いこだわりが出ることがあります。
3️⃣ 支援のヒント(実生活でできること)
【視覚化】
●朝の準備や持ち物をイラストや写真でチェックリスト化
●今日の予定をホワイトボードやカレンダーに見える化
●新しい場所に行くときは、写真や動画で事前に確認
【構造化】
●予定の時間を色分けしたタイムスケジュール
●作業のステップを紙にまとめて見やすく
●片付ける場所にラベルをつける
【予測しやすい声かけ】
●「あと5分で次のことするよ」と事前に知らせる
●予定変更がある日は朝のうちに説明する
●初めての体験は写真や動画でシミュレーション
【 ストレス対策】
●イヤーマフ・サングラスなどで刺激を減らす
●ひとりになれる時間を確保する
●「練習タイム」を作って失敗してもOKな環境にする
4️⃣ まとめ
予測符号化理論を知ると、「支援はただの甘やかしじゃない」ことがわかります。
視覚化 → 脳の予測を助ける
構造化 → 未来がわかるから安心できる
声かけ → 脳の負担をやわらげる
先がわかると、人は落ち着く。支援は、その「予測」を外から補う方法です。
【メッセージ】
発達障害のある人も、予測の仕組みがちょっとサポートされるだけで力を発揮しやすくなります。
「ちょっと先が見える」「やることが整理されてる」そんな環境を整えることが、毎日の安心と成長につながります。
発達障害についてのご相談は
ハピネス発達心理相談室
【参考文献】本田秀夫(2025)「自閉スペクトラム症の人たちにおける不安」こころの科学243, pp.80-84, 日本評論社



