top of page

相手を支配する‐ガスライティング

ガスライティングとは何だろう

ガスライティングとは?



「もしかして私がおかしいのかな?」

「記憶が間違っているのかも…」



こんなふうに、自分の感覚や記憶を疑ってしまう状態に追い込まれることがあります。その背後にあるのが ガスライティング という心理的支配の手口です。



ガスライティングでは、相手に偽りの情報を与えたり、「そんなこと言っていない」「やっていない」と繰り返し否定したりして、あたかも相手の勘違いのように思わせます。ときには偽の証拠を仕組んで、さらに混乱させることもあります。



映画『ガス燈』では、夫が妻に「最近、君は失くし物が多い」と言いながら、実際には妻の持ち物を自分で隠してしまいます。そして「ほら、僕の言った通りだろう」と責め立て、妻に「自分が間違っているのかもしれない」と思わせていくのです。



このように、ガスライティングは相手を自分に依存させていきます。


例えば、誰かと交流しようとすると「君は僕を大切にしてくれない」と罪悪感を植え付け、周囲から孤立させることがあります。さらに「そんな大げさな」「ずうずうしい」と相手の気持ちを軽んじ、何度も繰り返すことで「やっぱり自分がおかしいのかもしれない」と思わせてしまうのです。



やがて相手は自信を失い、加害者に依存するようになります。


そして加害者は「関係を終わらせてもいいんだぞ」と脅したり、逆に甘い言葉をかけたりしながら、より強くコントロールしていきます。



ガスライティングは単なる意見の食い違いではなく、相手の心を巧みに揺さぶり、支配しようとする危険な行為です。



ガスライティングに気づいたときの対応策



もし「おかしいな」「しんどいな」と感じたら、まずはその感覚を大事にしてください。


自分の中の違和感を無理に打ち消す必要はありません。



また、信頼できる友人や家族に話してみることも有効です。第三者に打ち明けることで「やっぱり自分の感覚は正しかったんだ」と確認できることがあります。



それでも不安が強いときや混乱が続くときは、専門の相談機関やカウンセリングを利用するのも一つの方法です。安心できる場で自分の気持ちを言葉にすることが、回復への第一歩になります。



一人で抱え込まなくても大丈夫です。


つながりの中で、自分の感覚を取り戻していけるはずです。




参考文献:アメリア・ケリー, 野坂祐子訳(2024)『ガスライティングという支配-関係性におけるトラウマとその回復』日本評論社



ハピネス発達心理相談室

 
 
bottom of page